お知らせ of 脊髄外科ジャーナル



脊髄外科を新たな観点から見直していきたいと考えています



信愛会脊椎脊髄センター診療体制変更のお知らせ

 近年の生活習慣の変化に伴い,腰痛や頸部痛,手足の痛みや痺れ,そして運動障害などを訴えられる方が増加してきておりますが.これらの症状の多くは脊椎の異常により脊髄や神経が圧迫されることにより発生いたします.信愛会脊椎脊髄センターは脊椎や脊髄の異常を的確に診断し,外科的な手術を含めた適切な治療法を提供することを目的として,平成25年1月に畷生会脳神経外科病院に開設されました.当センターの開設以来,年間手術数が平成25年377件,平成26年442件と徐々に増加しており,これも皆様のご支援のおかげであると感謝いたしております.また,当センターは医療機関や救急隊から依頼される患者様あるいは受診される患者様は絶対断らないという方針を貫いており,地域医療に少しでも貢献できているのではないかと自負しております.
 ところで,平成27年5月1日をもちまして交野病院が交野市松塚に新築移転いたしますが,これにともない信愛会脊椎脊髄センターが交野病院に移動することになり,ここにご案内申し上げます.なお,畷生会脳神経外科病院においても,信愛会脊椎脊髄センターの診療を引き続き継続させていただきますので.よろしくお願い申し上げます.

スタッフの紹介
センター長:寳子丸 稔(ほうしまる みのる)昭和56年京都大学医学部卒
     略歴:平成 8年 京都大学医学部脳神経外科講師
        平成11年 大津市民病院脳神経外科診療部長
     主な資格と役職:京都大学臨床教授,日本脳神経外科学会専門医
             日本脊髄外科学会指導医,日本脊髄障害医学会評議員
             日本脊椎脊髄神経手術手技学会理事
             Best Doctors 2014-2015
医長:上田 茂雄 平成10年佐賀医科大学卒
     略歴 平成14年 カナダ・トロント大学脳神経外科
        平成18年 佐賀大学医学部脳神経外科助手
        平成21年 大津市民病院脳神経外科医長
  主な資格と役職:日本脳神経外科学会専門医
       日本脊髄外科学会指導医
             日本分子脳神経外科学会ジュニア世話人
医長:佐々木 伸洋 平成12年佐賀医科大学卒
     略歴 平成16年 大津市民病院脳神経外科医長
     主な資格と役職:日本脳神経外科学会専門医
       日本脊髄外科学会認定医
医長:福田 美雪 平成16年滋賀医科大学卒
     主な資格と役職:日本脳神経外科学会専門医
医員:武田 幸恵 平成23年卒
医員:山下 北斗 平成24年卒

信愛会脊椎脊髄センターにおける対象疾患
 当センターは脊椎脊髄疾患を全般的に扱い,その主なものは以下の通りです.
頸椎椎間板ヘルニア,変形性頸椎症,頸部脊柱管狭窄症,後縦靱帯骨化症,黄色靭帯骨化症,腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症,腰椎すべり症,側湾症,環軸椎亜脱臼,脊椎骨折,骨粗鬆症性椎体圧迫骨折,椎体炎,キアリ奇形,脊髄空洞症,脊髄腫瘍,脊椎腫瘍,脊髄血管奇形など.
 また,当センターが行う主な手術は以下の通りです.
頸椎前方固定術,頸椎椎弓形成術,頸椎後方固定術,胸腰椎椎弓切除術,腰椎椎弓形成術,腰椎椎間板摘出術,腰椎椎体後方固定術,腰椎椎体前方固定術(XLIF),腰椎内視鏡手術(PELD),環軸椎固定術,経皮的椎体形成術(BKP),大後頭孔減圧術,脊髄腫瘍摘出術,脊椎腫瘍摘出術など.

診療実績と今後の展望
 当センターの手術においては頸椎椎弓形成術の手術が半数を占めておりますが,これはDPC全国統計でみますと全国のトップを争う数字になっております.当センターでは手術の改良を常に行ってきており.平成25年には頸椎椎弓形成術に使用するセラミックスペーサーの改良を行いました.また,経皮的椎体形成術(BKP)のライセンスを取得し,椎体圧迫骨折の症例に対して治療を開始しております.また,手術を安全に行うために,術中のMEPモニターを全例で施行するようにいたしました.平成26年には,腰椎変性疾患に対して行う前方固定術XLIFを開始し,これにより低侵襲的に腰椎固定術が可能になりました.また,腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的髄核摘出術も開始いたしました.本法は確実性が高いと決して言えませんが,非常に低侵襲な方法で迅速に疼痛を軽減させることができるため,需要は高いものと考えています.
 交野病院においても引き続き治療成績の向上にむけて努力してまいる所存です.交野病院ではO-armが導入され,インストルメンテーションを用いた固定術の安全性が高まり,従来困難と考えられていた症例に対する固定術が可能になります.また,内視鏡手術機器も導入され,PELDを含めた内視鏡手術が開始されます.これにより,2−3日入院での腰椎椎間板ヘルニアに対する治療が可能になります.リハビリの分野においては京都大学脳神経外科の協力のもとロボットスーツHALを導入し,脊髄損傷に対するリハビリ治療を積極的に行っていく予定です.

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