腰椎椎間板ヘルニア of 脊髄外科ジャーナル



脊髄外科を新たな観点から見直していきたいと考えています



腰椎椎間板ヘルニア

椎体と椎体は椎間板により結合されていますが,椎間板はこんにゃくゼリーのような髄核を麻袋のような線維輪が覆うように構成されています.線維輪が裂けて,中から髄核が脱出してくる病態を椎間板ヘルニアといい,頸椎椎間板ヘルニアと病気の発生機序は同じです.従って,40−50歳台に発生のピークがあります.

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しかしながら,腰椎では1本の神経を圧迫して,その神経の支配領域に沿って痛みや痺れを発生するのがほとんどです.その痛みは坐骨神経痛と表現される痛みであることがほとんどです.坐骨神経痛は殿部から始まり,足の外側を下に向かって放散します.L4/5椎間板ヘルニア(第4腰椎と第5腰椎の間の椎間板から発生したヘルニア)ではL5神経(第5腰神経)が圧迫され,足の親指に向かって痺れが発生しますが,L5/S1椎間板ヘルニアではS1神経根が圧迫されて外側のくるぶしに向かって痺れが発生します.
腰椎椎間板ヘルニアはMRIの画像で容易に診断されますが,稀に腫瘍と区別が困難なことがあります.

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頸椎椎間板ヘルニアの時と同様に症状が発生してから3カ月待つのを原則とし,それ以降日常生活が障害されるような症状が持続する時は椎間板摘出術の適応となります.

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