上衣腫 of 脊髄外科ジャーナル



脊髄外科を新たな観点から見直していきたいと考えています



上衣腫

上衣腫は髄内腫瘍の中で最も多い腫瘍ですが,30-50歳代に発症することが多いです.脊髄との境界は明らかで大きな後遺症を残さないで全部摘出することが可能です.上衣腫は脊髄の中心に存在する上衣細胞から発生するので脊髄中心部に発生し,腫瘍は脊髄の中に埋もれています.徐々に大きくなるので大きな腫瘍でも比較的軽微な症状しか発生しません.しかしながら,長期にわたって症状が存在した場合には手術の成績が良くないと報告されていますので,腫瘍が発見された場合には早めに摘出するのが良いと思われます.多くの場合,大きな後遺症を残すことなしに摘出することが可能です.

腫瘍の摘出方法

上衣腫は後方から手術を行います.背骨の椎弓と呼ばれる部分を切除して,硬膜を露出し,さらに硬膜を切開して脊髄を露出します.脊髄の背面の真ん中には後正中溝と呼ばれる割れ目(下図Aの黒い矢印)があります.背面を走る血管(米印)をよけながら後正中溝を分けていくと腫瘍が露出されます(下図B).その後,腫瘍を脊髄から分けていきながら腫瘍を摘出していきます(下図C左と右).
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